2008 年7 月13 日(日)13:30~16:00、筑波学院大学 において、つくばエコライフフレンズ主催、つくば市、茨城県、つくば3E フォーラム後援の「エコドライブフォーラム in つくば」を開催しました。57 名が参加しました。つくばエコライフフレンズが行ったエコドライブ実験の報告に続いて、4 名の講師の方に、それぞれの立場からユニークで分かり易い講演をしていただきました。いままで、知らなかったことをうかがい目から鱗が落ちる思いをしました。
以下に講演の要旨と質疑・応答の模様を記載します。講演要旨
(1)
エコドライブ実験報告:安田早苗氏(つくばエコライフフレンズ)
フォーラムに先駆けてエコドライブ実験を実施した。実験は、通常(従来)ドライブとエコドライブの燃費を計測して報告していただくという方法で進めた。実験には24 名の方に協力していただいた。
実験の結果,平均燃費向上率は10.1%、エコドライブによる期間中のCO2 削減量は120kg と、短い期間であったが所期の目的を納めた。今後も人数を増やして継続して行きたい。
(2)
エコドライブの仕方:神谷寛之氏(茨城トヨタ自動車(株))
エコドライブの仕方には10 項目ある。中でも、ふんわりアクセル、車間距離を保つ、早めのアクセルオフなど、的確な状況判断に基づいたアクセル操作が重要である。他に、控えめなエアコン、アイドリングストップ、暖機運転しない、しっかりした行動計画・準備、不要な荷物は積まない、駐車場所に注意などがある。暖機運転は故障につながるという誤解があるが、そのようなことはない。心がけねばならないのは、タイヤ空気圧やオイル交換を含む点検・整備である。日頃の点検・整備が故障を防ぎ、安全で快適に走れるコツである。エコドライブは燃料を削減できるので、CO2 は無論のこと燃料代も減る。安全運転にもつながる。つまり、エコド
ライブをすれば皆がハッピーになれる。
(3)(
株)カスミにおけるエコドライブの取り組み:
野口隆宏氏((株)カスミ)
社内の運輸部門として、商品配送を委託している協力会社様に取り組んでいただいた。昨年7月に現状の燃費を調査したところ、4t 車5.91、6t 車4.97、10t 車3.20であった。また、デジタコが導入されている場合は、燃費にバラツキが少ないことが分かった。調査結果をもとに、燃費の2%アップ(4t 車6.03,6t 車5.07km、10t車3.27km/L)を目標に、走行速度を抑える、急発信・急加速しない、慣性走行、エンジンの回転数をおさえる、波状運転はしないを実施した。また、点検・整備を徹底した。運転者自らも、回転計の制限回転数にシールを貼るなどの工夫をした。
こうした取り組みによって、4t 車で1.9%、6t 車で2.74%、10t 車で4.92%、燃費が改善した。燃料高騰の折り、燃料代の節約分もトータル的にはかなりの額に達した。
(4)
エコドライブの理論と実践:
加藤秀樹氏((独)国立環境研究所 ポスドクフェロー)
はじめに、交通の温暖化対策として、乗用車での利用頻度が高い東西大通沿いのポイントを結んだ公共交通への転換、鉄道沿線に居住地・従業地を集中させるコンパクトなまちづくりを提案。すでに京都議定書の第一約束期間に入り、エコドライブは即効性のある対策として重要、理論的な裏付けをもつ効果的な方法を広く普及させる必要がある。シミュレーションにより、運転方法の違いを走行に必要なエネルギーとして定量的に評価した結果、走行中の最高速度を抑える効果が大きいことがわかった。この理論を実証するために、26 名による試乗会(路上走行試験)を行い、エコドライブ項目として「制限速度以下での走行、等速走行、早めのアクセルオフ」を指示したところ、走行エネルギーは減少し、それにともない燃料消費量も減少した。効果は参加者の平均で約10%である。つくばでは、制限速度を超えた走行が多く見られることから、『制限速度を守る』というあたり前のことを行うだけで、改善の効果は大きい。広い普及を期待している。今後は、受容性向上や交通流全体への影響評価などを行いホームページなどでも情報を発信したい。
(5)
環境都市づくりに向けたつくば市の取り組み:
岡野 渡氏(つくば市 環境都市推進室)
エコドライブは、つくば市の「つくば環境スタイル計画」に位置づけられている。つくば環境スタイル計画におけるCO2 の削減目標は、2030 年までに50%削減することである。一人一人の環境意識の高揚が重要。家庭から排出されるCO2 をひとり・一日・1kg 削減することもその目標の一つで、エコドライブは誰でもすぐに始められる対策として重要である。また、トップレベルの大学と研究機関が集積するつくばの特徴を活かし、将来を担うこどもたちの環境教育を実施していきたい。交通の面では、小型電気自動車や新エネルギー利用車の導入、全市民ノーマイカーデーやエコドライブの実施といった啓発活動、低公害車優先駐車場・優先レーンの
創出といったインセンティブが働く施策をとりたい。
質疑・応答
Q:エコドライブ実験はどのようにして行われたか。実施期間は定めたのか。
A:実験は、まず通常(従来)のドライブをしていただき、次にエコドライブ3 か条を念頭において運転していただき、それぞれの走行距離と燃費を報告していただいた。日数や期間は特に定めず、6 月上旬から7 月上旬までの間で、各自が自由に行った。
Q:短期間では誤差が多いのではないか。
A:走行距離が長ければ誤差は少なくなるだろうが、この実験はフォーラムのために企画されたもので、フォーラムまでに終了すること、また、誰でも容易にできることを優先した。
Q:環境適合車を決めるのは基準があるのか。→環境適合車といっても、本当に環境に一番いいとは限らないのではないか。産業界の思惑などで基準が決められてはいないか。基準はどこが決めるのか。
A:日本では車の重さを考慮したトップランナー方式を採用している。ハイブリッド、電気自動車など、環境によりよい車はこれからも出てくると思うが、エコドライブというのはどの車に乗るかというより、それぞれの車をどう運転する。プリウスなど燃費の良い車でもエコドライブ効果は大きい。
Q:停車時にニュートラルポジションにすると、燃費が向上するか。車に悪影響はないか。
A:微々たるものだが向上する。理由はドライブポジションでブレーキを踏んで停車しているときよりも、エンジン負荷が小さいから。エンジン負荷が小さいということは、エネルギー消費も小さい。ただし、ニュートラルで停車するときは、必ずサイドブレーキを引くこと。操作になれていないと危険なこともある。安全性には十分注意を要する。
Q:幅の広いタイヤを使うと燃費が悪くなるか。
A:接地抵抗が増えて燃費が悪くなる傾向がある。エコドライブをこころがけるなら、同じ幅広タイヤでも燃費が良くなるエコタイヤをお勧めする。空気圧をチェックすることも必要。
Q:CD のボリュームを大きくすると燃費が悪くなるか。
A:CD はバッテリーから電力を得ている。また、バッテリーの電力はエンジンが駆動する発電機によることを考えると影響はないとはいえないが、大きいものではない。
Q:フォーラムの資料に車を使用する人の行動パターンが出ている。こうした調査結果は循環バスの経路を検討するのに有効と思われるので、生かせないか。つくば市はどのような考えをもっているか。
A:資料に出ている行動パターンは環境研に勤務される方のものと思われる。他所へ勤務される方だと違った行動パターンになる。現在行っている、自転車マップづくりの調査や他の調査などとあわせて、活かしていきたい。
Q:環境研での調査結果は自治体に提供する考えはないか。
A:行政や市民に開示したい。
Q:人口分散型は集中型よりも走行距離が多く、排出CO2 が大きくなるのは当たり前と思う。エコドライブより車を使用しない方が良い。つくば駅前広場の拡張計画では、タクシー乗り場は拡がりバス乗り場は狭くなっており、疑問がある。
A:集中型の方がよいということをデータとして示したものです。
意見:都市部の人が増えていることを考え、エコドライブよりも公共交通機関の充実が効果的だと思う。車に乗るならエコドライブ、次は乗り合わせる、公共交通機関を使うといった選択肢をとるようにすれば良い。
意見:自動車学校でエコドライブ講習を受け、効果を実感できた。自治体でも講習会を実施してほしい。
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